start over 12


いつまでも見つめていたかった背中がドアの向こうに消えると
それまで周りを包んでいた橙色の夕日が
突然白い光に変化した。



身体にズシンとした重みを感じ
懐かしい景色がボヤける。






もう戻っちまうのか…






桜子 「本当のところはどうなんです?」


つ 「な何が?」


桜子 「こんな献身的に身の回りのお世話までしているなんて
本当は別れてなかったとか…」


滋 「あ!それ滋ちゃんも不思議だった。
いくら看護師でもここまでしないよね。」



病院独特の匂いを感じると
遠のいていた意識が少しずつ戻ると同時に
ワイワイと会話をする声が聞こえて来た。

身体の感覚を確かめる様に指先を動かしてみる
__まだ感覚が鈍いな………



つ 「そんな事言っても…
ほら。お姉さんに頼まれたら誰も断れないし。
…桜子の紅茶この銘柄だっけ?」


滋 「え〜
滋ちゃんには献身的に看護する彼女にしか見えないけど?」



滋と三条の言葉を無視する様に
牧野の足音がパタパタと動き回る。

相変わらず忙しない奴だ。

そんな事してねぇでお前の今の立場を教えろっ!
今回こそいい感じになってんだろ?
俺の妻とは言わなくても彼女くらいに___



つ 「か、彼女だなんて!
そんな事ありえないっつーの。」



ありえない?
俺はお前の為にあんなに苦労したんだぞ。
お前を待ち伏せした日だって
俺は寝ずに作戦立てたっつうのに。

まさかあの後
俺がお前にちょっかい出したせいで
やっぱりイジメられたのか?




__チクショウ!

俺があのままあっちに居られれば…



優紀 「でもつくし
あれから誰ともお付き合いしてないでしょ?
初恋だもんね〜
諦められない気持ちわかる!
私も西門さんを忘れるのに時間かかったな……」


つ 「優紀まで何言い出すのよ!」


優紀 「つくしはさ、口では花沢さんが初恋だなんて言ってたけど
本当はあの頃から道明寺さんに一途だったでしょ?
階段から落ちそうになった時…」


つ 「そりゃ、あの時は
思ってたよりはまともだったんだなと思ったよ
でもあの時のせいで学園中の女子に嫌がらせされてさ
散々よ。」




やっぱりか。
俺はそこまで想像することが出来なかった。
牧野は目立たずに大人しく高校生活を過ごしたかったと良く言っていたもんな。

また失敗したのか?



つ 「__でもね。
あの時助けてくれたのがコイツじゃなくても
私はきっと恋してたと思う。
今がどうかとかは別としてね!!」


滋 「きゃー!素敵っ!!」


桜子 「すっかり当てられましたわね。
……まったく
そんなに好きならさっさとよりを戻せばいいのに。
焦ったいですわね!」


優紀 「桜子ちゃん。2人にも色々あるのよきっと。」


つ 「あーもう!
みんなが聞くから素直に答えたのに!
恥ずかしくて死にそうっ!!
とっ…とにかく私は道明寺の彼女でもなんでもないんだから
くだらない事言わないでよ?」



真っ赤になっているであろう牧野がまくし立て、
「ほらほら!もう面会時間終了!」とか言いながら部屋から追い出した。

ガラガラと部屋のドアが開閉する音を聞き
懸命に堪えていた頰の緩みを解放する。







「やっぱり起きてらしたんですね?」


司 「___三条か…
気付いてたのかよ」


桜子 「もちろんですわ。
だからあんな質問して差し上げたんですから…
それと
先輩の初恋相手がくれたハンカチ今でも大切にしているらしいです。
誰が贈ったのかは存じませんけれど。」


司 「フッ……何が欲しい」


桜子 「メープルのレジデンシャルスウィート」


司 「ああ。世界中どこに行っても使える様にしておく。」



三条は意味ありげな笑みを見せながら
カツカツとヒールを鳴らして部屋を出て行った。






パタンとドアが閉まる音に俺の我慢は限界を超えた。



やべえ!!!!
もう我慢できねぇ!!!!


ハンカチってアレのことだよな?


俺がアイツに渡した!




じわじわと身体の熱が上がり
もうジッとなどしていられない。

熱を発散する様に
全身の力を込めて
腕を振り上げた。






ブチッ!!!!!





司 「痛ってーーー!!」


つ 「なななな何?!
どうしたの?
わー!
あんたちょっとこれっ!」



俺の身体は想像以上に回復していたらしい……
力を込めて振り上げたせいで
腕に刺さっていた点滴の針が抜けてしまった。


三条たちを見送って戻って来た牧野がすぐ発見し
「寝相が悪くて点滴が抜けるなんて小児科の子供達でも無いよ!」
とブツブツ言いながら処置をしてくれる。



司 「……おい」


つ 「何?もう少しで終わるから我慢しなさいよ?」


司 「俺が渡したハンカチ
どうした?」



牧野の顔が一気に赤くなり
俺の想像はやっぱり間違いないのかとニヤケが止まらない。



つ 「………はぁ?
こんな時に何言ってんのよ。」


司 「もう捨てたか?」


つ 「馬鹿ね
捨てるわけないでしょ。
だってアレは……」


司 「アレは?何だよ」


つ 「何でもないっ!
はいおしまい。
もうジッとしてなきゃダメだよ。
絶対安静なんだから」



残念ながら素直じゃねぇ性格は
あんな事だけじゃ変わらねえか。

だがこんなコイツの天邪鬼も可愛いってもんだ。



牧野は「何言ってんだか!」とか「怪我した時頭打ったんじゃないの?」なんて言いながら
また忙しなく動き出し始める。



コイツの初恋は俺かもしれない。
俺らは初恋同士ってやつか…


暫くそんな考えに浸りながら
ニヤける顔を抑えるのも忘れて
愛おしい女を見つめていた。



つ 「よし!じゃ、私は次の仕事に行くから。
ジッと寝ときなさいよ!」


司 「おい!何でだよ。
お前は俺専属じゃねえのか
姉ちゃんに言われてるんだろ?」


つ 「やっぱりアンタがお姉さんに頼んだのね!
アンタの我儘のおかげで師長に患者さん変わってもらったり
仕事は倍増してんのよ。
今は人手不足なんだから。
アンタばっか構ってられないの。」





また後で様子見に来てあげるから!
寝てないと承知しないよ!


なんて怪我人に向かって看護師が言う言葉とはとても思えない言葉を残し
パタパタと部屋を出て行った。




桜子ちゃん流石です!
つくしちゃんの態度は愛情の裏返し??
念願の初恋をゲットした司くんだけど…
2人の関係はどうなって行くの〜(≧∀≦)



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おはようございます。

つくしちゃんの初恋が司くんに変わっていました!
司くん良かったね~。
でもでも・・・
彼女ではなかったですね(>_<)
ですよね~
司くんに気に入られたら、それはそれであの腹黒お嬢様たちに睨まれちゃいますよね。

それでも司くんに対する印象は変わったし、あのハンカチも司くんを想って大切に持っていてくれたと思うと嬉しいですよね(*^^*)
つくしちゃんが素直になったら今すぐにでも恋人になれちゃいそうですよね!

桜子はやっぱり策士!!
敵には回したくない!(笑)

司くん現実でも頑張って\(^-^)/

  • |2019.09.12(Thu)
  • |スリーシスターズ
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コメントありがとうございます♪

スリーシスターズ 様☆


司くんやりました‼︎
夢の初恋ゲット(*≧∀≦*)♡
でもやっぱり…お嬢様の手から逃れる事は出来なかったんですが
つくしちゃんなら負けませんw
きっと司くんが助けてくれたと思いますし(゚∀゚)

初恋もゲット出来たし、司くんの想いが届いて
つくしちゃんが素直になってくれるのは近いのかな?
頑張れ司くんっ‼︎
  • |2019.09.12(Thu)
  • |lovetsukoshi
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