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koma
             written by koma




フ…ッと意識が浮上する。

手には牧野の手の温もりが感じられ
どれくらい眠っていたのかわかんねぇが
「ずっとそばにいる」と言った言葉通りついていてくれたのだと知る。


……っつか、
入院している間はオレの意思に関わらず
眠る度にあちこちタイムリープしてたのに…

薬の効果もあってか
よく眠っていたような気はするが…

タイムリープ…してねぇ、よな?

それが 今回たまたまなのか、
オレの体が回復してきたからなのか 、
それとも最も強く戻りたいと思っていた
NYでの別れをやり直せたからなのかはわかんねぇ。

それでも
過去に犯した数々の過ちをやり直し
その度に遠い存在となってしまった牧野を
またこの手へと手繰り寄せる事が出来た。

そこにもちろん不満なんてねぇ…んだが。

__どことなく腑に落ちない気持ち悪さがまだ残っている。

頭ん中に靄がかかってるような…
そんな違和感がオレの中にあるのも確かだ。

それがどこから来ているのかイマイチ掴みきれずにいる。

ただ眠ってる間に夢でも見ていて
それを覚えてねぇっつーだけならいいんだが…

普段、夢なんて見ねぇ…っつーか
牧野と別れてから、ろくな睡眠はとってねぇオレが?

CEOになって迎えに行くと
牧野と約束したからには
そのために15年突っ走ってきたはずだ。

その結果。
オレ達の関係は今どうなってんだ?

それを聞こうとして
はぐらかされていた事を思い出し
起きようとした、その時コンコン、と扉をノックする音が響いた。

「…司の様子は?」

聞こえた声にドクンと心臓が鳴る。
この声…まさか、ババァか?

CEOの座をオレに明け渡し
今はホテル業に専念してるはずじゃねぇのか?

今さら何しにきやがった…!
まさかまたオレ達の邪魔を…っ。

とにかく追い返してやろうと
起き上がろうとしたオレを止めたのは

「あ!お義母さま。
 やっぱり疲れが出たみたいで…
 でも薬も効いてきて落ち着いてます」
なんてババァの登場に何の驚きもなく迎え入れた牧野。

「そう…。
 つくしさんが付いてると聞いて安心してたのだけど
 近くまで来ていたし 顔くらいは見ておこうかと思って」
「どうぞ座って下さい。
 もうそろそろ起きる頃だと思いますよ?」

「いえ。私はこれで失礼するわ。
 あの人が早く帰って来いってうるさいのよ」
「ふふっ。
 お義父さまも漸くお義母さまに甘えられて嬉しいんですね」

……。
おいおいおい。

いつから牧野とババァはこんなに仲が良くなった?

あと、親父がババァに甘えてる…?

マジで何言ってんだ、こいつら。
もしかしてオレはまだ夢の中にでもいるのか?

そんなオレの混乱も
目が覚めている事にも気付かず

「お義母さま。 帰る前に
 良かったらお茶に付き合ってもらえませんか?」
「そう?じゃあ少しだけ。
 あぁ、そう言えば
 つくしさんが好きそうなケーキを買ってきたのよ」
「わっ。ほんとですか?
 お弁当持ってきたはいいけど
 道明寺がこんなだから食べ損ねてお腹減ってたんです」

そんな会話をしながら2人で仮眠室を出て行った。

シン…と静まり返った空間で静かに目を開け
今起きた出来事を整理しようとしても頭が追い付かない。


すると、そこにカチャ…と静かに人が入ってくる気配。

「お目覚めでしたか」
「…西田か」

「牧野様でしたら…」
「知ってる。ババァが来てたんだろ?」
ただ、知っているだけで理解は出来てねぇけど。

起き上がりこめかみを押さえる。

「ご気分はまだ優れませんか?」
「いや…。なぁ
 オレ…結婚してたり、するか?」

最大の過ちである15年前の別れもやり直して
牧野は今、牧野の意思でオレのそばにいてくれている。

そしてババァと牧野がお茶をするくらいに打ち解けていて
何の事かわかんねぇが“うちの子”だっているんだろ?

だったらもしかしたらもう彼女とかすっ飛ばして
すでにあいつはオレの妻なんじゃねぇか…

そう考えたわけだが。

「司様…
 本当に大丈夫でございますか?」

チッ…。だよなぁ。
あいつ、今オレの事“道明寺”って呼んだしな。

「冗談だ」
「…」
そうは言ったが西田の視線が痛い。

「うちの子…」
どうにか話題を変えようかと
疑問の1つを口にしてみれば

「チャーリーがどうかなさいましたか?」
と涼しい顔で聞き返してくる。

…チャーリー、ねぇ。
誰だ、それ。全然知らねぇ。

もしかすると子供でもいるのかと思ったが
オレたちの子供だとすれば西田が呼び捨てにするはずはない。
そもそも結婚してねぇみてぇだし名前がチャーリーはねぇ…よな?
…って事はペットか何かか。

もう少し探りを入れてみるかと思ったが

「あ、西田さん。
 道明寺も起きてたの?気分はどう?」
牧野が戻ってきた事で諦めた。


結局…。
西田に大事をとってゆっくり休めと
最小限の仕事だけを片づけたら
この日は半ば強制的に帰された。

その間、待っていてくれた牧野と車に乗り込み
邸に帰ってきたはいいが…

「……」
「……ナァン?」

とりあえず視線を合わせるために
しゃがみ込んだオレの目の前には
なんつーか、目つきの悪ぃ猫が1匹。

こいつがたぶん、チャーリーか。
…にしても、この何とも言えねぇ既視感。

「…おいてめぇ。
 どっかで会った事ねぇか?」
「ナァ?」
しかも鳴き声が変ときた。

「何おかしな事言ってんの?
 どっかで会ったって朝会ったばっかでしょ。
 おやつあげようとしたら指まで食ったって騒いでたじゃない」
クスクスと笑いながらオレからジャケットを受け取り
クローゼットへと向かう牧野の後ろ姿を見送りながら部屋を見渡す。

「……」
見覚えがあるようでない。

確かにここは
15年前、オレが牧野と別れてから使っていた部屋だ。

家具などの配置も記憶と大差はねぇが
ただ、寝るくらいしか使う事がなかったはずのこの部屋に
温度っつーか、生活感みてぇなモンが生まれている。

__もしかして牧野もここで暮らしてる…のか?

戻ってきた牧野は
それもまた記憶していたよりは
使い勝手が良いようにとリフォームされたようなキッチンで
手慣れた動作で珈琲を淹れ始めた。

「あんたが眠ってる間にさ、
 お義母さまがいらしてたんだよ?
 相変わらずお忙しそうだけど、お義父さまとも仲良さそうで良かった」
そう話す牧野の表情は穏やかで
まるで15年前、反対されてた事なんてなかったみてぇだ。

「…なぁ、お前さ。恨んだりしてねぇの?」
オレの言葉にきょとんとするこいつ。

「え?あー…まぁね。
 最初はあたしだって思ってたわよ?このクソババァ!って」
本人にも言っちゃったんだけどね、
なんてケラケラ笑ってから小さく息をついたこいつは

「あんたには言うなって言われてたんだけどね?
 お義母さまったら、15年前のあの日、
 あんたがあたしに待ってろって言ったの
 扉の向こうでこっそり聞いてたらしいのよ。
 だったら15年でCEOの椅子を明け渡せるように、
 その時の基盤をもっと大きく安定した物にしたいから
 お義父さまにも妻としての自分は15年待ってて…って話したんだって」
そんな話を続けたこいつは

「だから…
 感謝はしても恨んだりしてないよ」
曇りのねぇ笑顔でそう言った。

「そうか…。
 なぁ、ま……いや、…つくし?」
さっき牧野と呼んで驚かれた事を思い出し
試しに名前で呼んでみた。

「あれ?
 牧野って呼ぶのやめたの?
 ちょっと懐かしくて楽しかったのに」
クスクスと笑ってる所をみると
やっぱオレはいつの間にか、こいつを“つくし”と呼んでるらしい。

…だとしたら
付き合ってんのは確定でいいよな?

「だったらお前だって司って呼べよ」
こいつに道明寺と呼ばれるのは嫌いじゃねぇが
やっぱりその口から名前で呼ばれてみたい。

「…そうだよねぇ。お義母さまにも
 家族になるなら苗字で呼ぶのはおよしなさい
 って言われたとこなんだけど
 やっぱり道明寺は道明寺って感じがしちゃって。
 ……でも、ゆっくり慣れていかないと……ね。司?」
そう言いながら渡された珈琲を手に取る。

「お、おぅ…」
照れたような顔で呼ばれた名前は
思ってた以上に胸にくるものがあって
しばらくその幸せに浸っていた……が。

…。

……。

………っ!?

今、家族になるっつったか!?
それって…もちろんそういう事だよな!?

「…あ~っ!!
 ちょっと大丈夫?火傷してない?」

あまりの衝撃に
手にしたばかりのカップを床に滑り落としたオレに
つくしが大騒ぎしていたような気もするが
目に見える物も聞こえる音も
オレの中を通過していくだけで
オレの意識は完全に違う所へと飛んじまっていた。







やったね坊っちゃん!
つくしちゃん結婚してくれるらしいよ( *´艸`)♡
ハッピーエンドなはずなのに
坊っちゃんはまだモヤッとした部分もあるとかないとか…。

その辺もろもろ丸投げで!
あとは任せた!happyさん♡お願いしま~す(*´▽`*)


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No title

こんばんは。

司くんタイムリープしてない!?
夢にしてはなんだかモヤっとした感じが残る・・・
それを確かめなければ!!

私も司くん同様、うちの子ってのがとっても気になっていたんです!!
まさか、夢から覚めたら2人は結婚して子供までできてた!?
なんてことはある訳ないですよね~(笑)

色々確かめたいことはあるのに、まさかの楓さん登場!!
司くん何しに来た!!って言おうとしたのに・・・
あれあれ?
楓さんとつくしちゃん何だかいい感じ(^O^)
しかも司パパと楓さんもラブラブカップル!!
私もびっくりしました!!
ここでも司くん同様、どうなってるんだ~!?とハテナマークがたくさん!

西田さんに自分は結婚してるか?って聞いちゃった司くんの気持ち分かります!
西田さんの視線から結婚はしていないことは確定したけど、やっぱり気になるうちの子。
チャーリーって一体・・・

お邸に帰ってからその謎が解けました。
謎が解けて良かったです。
黒猫ちゃんでしたか~。
何となく魔女の宅急便に出てくるジジを思い浮かべたのですが、ジジは目つきは悪くはなかったですよね。

お邸に帰ってから、嬉しいことだらけの事実がたくさん出てきましたね。
15年前のNYでのことが現実をこんなに変えていたなんて!!
つくしちゃん彼女ってだけじゃなかったです。
家族になるってつくしちゃん言いましたよね!
嬉しいですね🎶
司くん良かったね(*´ω`*)

Happyさん、2人を超ラブラブに幸せにしてくださいね💕
物凄く期待して待っていますね🎶

  • |2019.09.26(Thu)
  • |スリーシスターズ
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コメントありがとうございます♪

スリーシスターズ様

ハピエンは目の前なのに
司くん、どこかモヤモヤを抱えています。
それはどうしてなのか!?
その辺は次回、happyさんが解決…してくれるはず(*´艸`*)

楓さんまでいい人になってて
つくしちゃんとも仲良しで
もしかしたらもう結婚出来たのか
…なんて思ったけどそれはまだでした~!

ふふっ♪
黒猫とは言ってないですが
私のお話を読んで頂いてる方が
黒猫を想像してくれてたなら作戦通りです(((*≧艸≦)ププッ
でも、あくまでもチャーリーですからね?
彼ではありませんよ~(笑)

つくしちゃんは彼女…ではなく
婚約者になっていた事を知った司くん。
嬉しいに決まってますよね~(*´艸`*)

happyさんですからね♪
大いに期待しちゃいましょ~(((*≧艸≦)ププッ
  • |2019.09.27(Fri)
  • |koma
  • |URL
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No title

こんにちは!
お話の更新ありがとうございます😊

頭の中の沢山の???の疑問が解決したような、まだしてないような(笑)

私、チャーリーのことをすっかり黒猫だと思って読んでいたのでkomaさんのスリーさんへのお返事コメント読んでえっ!って読み返したら、ほーんと黒猫とは書いてなかった!
komaさんマジックですね☆

つくしと楓さんの関係も良好そうで、しかも楓さんと司パパがラブラブみたいで嬉しくなりました(*^_^*)

疑問は残りながらも、結婚間近になってて司も嬉しいですよね〜
  • |2019.09.28(Sat)
  • |kachi
  • |URL
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コメントありがとうございます♪

kachi様

色々と繋がりそうで繋がらない…
その辺りのモヤモヤはhappyさんの
happymgicで解決してくれると思います(((*≧艸≦)ププ

ふふっ♪
kachiさんにもチャーリーは黒猫に見えましたか(*^^*)?
チャーリーに似た彼もきっと「ナァン♪」と得意気に鳴いてますよ~♡

やっぱりね~。
楓さんが出てきたらいい人にしちゃいたくなるんですよね~(笑)

完結まであと1話♡
最後まで楽しんで頂けますように♡
  • |2019.09.29(Sun)
  • |koma
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