start over 9


「…な~れ~。
 早くよくな~れ~」
次に視界が明るくなると
牧野がブツブツ言ってる声と

目の前で何かがぐるぐる回ってるのが見えた。

…これはあの土星か?
って事はネックレスはやっぱ今もお前が持ってんだな?

__つまり。俺より好きな男はいねぇんだな?

「…なぁ。何やってんだ?」
笑いそうになったが
力を入れようとすると
傷に響いてうまくは笑えなかった。
ただ、声は少しスムーズに出せるようになったか。

「ぎゃっ…!起きたっ!?」
俺の声にビビったこいつは
慌ててネックレスを後ろに隠す。

「…お前だけか?あいつらは?」
さっきとは違って静かな室内。

「…あー。それがね?
 滋さんがここでBBQなんてするから
 婦長が怒っちゃってさー。
 罰として、今日と明日は出入り禁止だって」
クスクス笑いながら言ってから

「道明寺も急に静かになっちゃって
 少し寂しいかもしれないけど
 絶対安静なんだから大人しくしててよ?
 じゃないと、治るものも治らないからね?」
そう続けて、ベッドの縁に頬杖をついた。

安静も何もろくに動けねぇんだよ。
お前も看護師ならわかってんじゃねぇのかよ。

と、まぁ。
そんな事はどうでもいい。

あいつらが出禁って事は
今、お前と2人きりなんだな?

「で?人の顔の上で
 ネックレスぶん回して何やってたんだ?」
「みっ…見てたの?」

「俺は動けねぇんだ。
 見てほしくてやってんのかと思ったが?」

実際、見て欲しかったんだろ?
オレがまだ好きで好きでたまんねぇっていう証を。

「やっぱまだ持ってたな」
「そ、そりゃ…
 捨てるわけにもいかないでしょ?」
諦めたように後ろに隠したネックレスを前に出す。

「で?何してたんだ?」
「いや、…あんたも土星人?だし
 土星見せながら念じてたら効果あるかなぁ…って?」

「……お前、マジで看護師かよ。
 腹いてーんだから笑わせるなっつの」
「もうっ!うるさいなっ。
 やらないよりはいいかもしれないでしょっ!?
 実際、あんただって目を覚ましたじゃない」
自分でも馬鹿らしいと
自覚があったのかネックレスをケースに入れると
真っ赤な顔で俺を小さく睨む。

「俺が心配だったのか?
 そんなまじないみてぇな真似するほど?」
「はっ!?
 変な言い方しないでよっ。
 友達が死にかけたんだから
 心配するのは当たり前でしょ?」

……ん?
友達、だと?

まだ恋人にはなれてねぇのか?


待てよ?
NYのあの日に戻れなかったが
今回だって過去はやり直してきた。

だったら…

「お前…結婚はどうなった?」
その言葉に少し驚いた表情を浮かべると

「え…っ!?
 あ~、誰かから聞いたの?」
なんて困ったように笑う。

おいおい…どうしてそうなる?

お前が好きなのは俺なんだろ?
だったら結婚するなんておかしいだろうっ!

どこだ?どこが間違ってた?
やっぱ合コンを阻止出来なかったのがマズかったのか?

誰が何と言おうが
お前と結婚すんのはこの俺だ!

「…っ」
自由のきかない自分の体がもどかしい。
動かねぇ腕を上げようと腕に力を込めたが
ほんの僅かしか動かせなくて
すぐそこにいるのにあいつには届かなかった。

だが、俺の動きに気付いた牧野が
その手を両手で握ってくれる。
「えっ!?どうしたの、道明寺。
 どっか痛い?何か欲しいものがあるの?」
心配そうに顔を覗き込んで
俺の表情を読み取ろうと真剣な眼差しを向ける。

欲しいのは…お前だ、牧野。

それ以外に何もねぇんだ。
CEOの椅子だって
認められた達成感はあるが
それは俺が求める幸せなんかじゃねぇ。

「結婚なんて…するなよ」
情けねぇ声しか出せない自分がもどかしい。

…そりゃ俺はこれまで
間違いをいくつも重ねてきたかもしんねぇ。

でも…もう間違わねぇから。

正義感が強くて、どこまでもまっすぐで。
自分の事なんか二の次で他人のために動いちまう。
その結果、いつも貧乏クジを引いている。

それでも最後には
まぶしいくらいに笑ってる
そんなお前が好きでたまんねぇんだ。

そんなお前が人生のパートナーとして選んだ男は
きっとすげぇいい奴なんだろうとは思う。

もしかしたら俺がやろうとしている事はただのエゴで
お前にとっちゃ迷惑な話なのかもしんねぇ。

でも…
今でも忘れられねぇんだ。

お前を取り戻すために
俺は死の淵から戻ってきたんだ。

だから…俺を幸せにしてくれよ。


抱き寄せる事も出来ず
情けなく懇願する俺にきょとんとした顔を向ける牧野は

「…結婚、やめたけど?
 あれ?聞いたんじゃなかったの?
 みんなに婚期逃したって散々からかわれたから
 あたし てっきりあんたにも笑われるのかと」
頬をポリポリ掻きながら笑う。

「やめた…?
 やめたってどういう事だ?」
「んー…付き合ってた人からプロポーズされてね?
 あたしも受けるつもりだったんだけど
 いざ結婚が現実味を帯びたら
 どうしてだか頷けなくてさー…
 いい人だったんだけどなぁ…。別れちゃった」

「……」
「やっぱバカだったかなぁ
 バカだったよねぇ…
 あ~っ。どうして受けなかったんだろう」
なんて漏らしながらベッドに突っ伏した。

「…そのネックレスが答えじゃねぇの?」
「え?」

「そいつと結婚して
 俺にネックレス返そうっつー気にならなかったんだろ?」
「そ、れとこれとは…」

「関係あるだろ?」
俺が今でもお前を求めているように
お前だって俺を忘れてねぇんだろう?

「それを俺に返さねぇって事はそういう事だろ?」
僅かに口角を上げた俺に
バツが悪そうに視線を泳がせるこいつは

「そっ…そろそろ行かなきゃ。
 担当患者さんの点滴交換する時間だから」
仕事を理由に逃げようとする。

「あ?お前、俺以外にも担当抱えてんのかよ?」
そんなのやめて24時間俺についてろ。

そう続けようとした言葉は
「は?あたし道明寺の担当じゃないから。
 VIPの患者様は婦長が担当って決まってるの」
そんな言葉に飲み込まれた。

婦長って…あの顔パンパンのババァかよ!?
ふざけんなっ!
あんな奴に処置されるなんてあり得ねぇ!

そう怒鳴ろうとしたが
また傷に響いて声にならない。

それでも俺の言いそうな事など
お見通しだとばかりに
「はいはい、いい年して我儘言わないの。
 じゃあ、ほんと時間ないから!お大事にっ」
なんて立ち上がるとそのまま部屋を出ようとする。

「ま、待てっ!
 これだけ答えろよ。
 ネックレスを返さねぇって事は
 お前は今でも俺が好きなんだよな?」

結婚するはずだった奴とは別れた。
あいつはネックレスを今も肌身離さず持っている。

つまりはそういう事でいいんだろ?

俺の言葉に牧野は足を止めそばへと戻ってくると

「…ちゃんと元気になったら答えてあげる!」
と、俺が大好きだった笑顔で言…ったのはいいが。

照れ隠しなのかどうかは知らねぇが
あろうことか俺の腹をトンッと叩きやがった。

「…てっ…め…ぇ!」
激痛に悶絶する俺。

「わっ!?やだっ!ごめんっ
 道明寺大丈夫?…道明寺~っ!?」
俺の顔を覗き込んで
頬をペチペチと叩くこいつの焦った顔を見ながら
俺はまた意識を手放した。



2人の運命を示す土星を取り戻した司くん
その示す先はどこへ向かっているのか



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No title

こんばんは!
BBQメンバーは出入禁止ですか⁉︎そりゃそうですよね。
でも、そのお陰でつくしと2人きり。司はもう、タイムリープしなくていいみたいね。
つくしの結婚話をしてたのは誰でしたっけ?
ガセネタにも司、暴れない(暴れられない?)ねぇ〜元気になったら、締めるのかな?ふふふ。早く元気になってね。
司へ…婦長さんを悪く言うのは止めて!同志なんだから!
好きでふっくら同盟に入る訳じゃなく、諸事情があるんだからね!これは、痩せててお腹もぺったんこだったと言っても信じない娘達にも声を大にして言いたい!(私ごとをスミマセン)
覆面ライターの皆さまをいろいろ推理してるんですが、怪しくって…お話も、いつもは妄想しまくるんですが今回は勝手が違って…純粋に(間違った。いつも純粋です)司が起き上がれるようになって、元気になって、つくしを追いかけ回す日を楽しみにお待ちしてます。

  • |2019.09.09(Mon)
  • |ふぁいてぃ〜んママ
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  • EDIT

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No title

こんにちは。

早くよくな~れ~と土星のペンダントを回すつくしちゃん。
催眠術って単純な人ほどかかりやすいってよく言われていますよね。
ビジネスにおいては天才的な司くんかもしれませんが、純粋さを持ち合わせている分、単純と言えば単純ですよね!(笑)
しかも野性的勘も持ち合わせていますしね(つくしちゃん限定!?)
つくしちゃんがやっているだけで良くなっちゃうかもしれませんね(^O^)

土星のペンダントをまだ持っているということは・・・
プロポーズまでされていたのにいざ結婚となると二の足踏んじゃうとか・・・
これはもうあの時の司くんの言葉がつくしちゃんの心の中に根付いちゃっていますよね!!
つくしちゃん恥ずかしがっているけど、照れているけど、司くん以上にその人のことを好きになれなかったんですよね!!

司くん、あの時のことはやり直せたけど、つくしちゃんから好きって言葉を聞くことができたけど、その後も紆余曲折あったからまだ友達です!
まぁ~司くんらしいですけどね(^O^)

これはやっぱり・・・
NYのあの時にタイムリープできないとダメなのかな~!?
あそこが一番の分岐点なのかな~?
でも、現実でもつくしちゃんを落とせそうな感じにもなってきていますよね!!

病室でBBQをしちゃった滋さんは出禁になっちゃいましたね(;^ω^)
特別室だし滋さんだし大丈夫かな!なんて思いましたが、やっぱり病室が火気厳禁ですよね!!
  • |2019.09.09(Mon)
  • |スリーシスターズ
  • |URL
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コメントありがとうございます♪

ふぁいて~んママ様

ふふっ。
さすがにBBQはまずかったですね~(((*≧艸≦)ププッ
でもだからこその2人きりでいい感じ…💕
なんですが司、追いかけたくても
まだ一応重症の身なんですよね~(´-ω-`)

結婚話はF3がしてました~。
司が過去に飛んでなければ結婚もしちゃってたかもしれません。

動けない体で(笑)
司は過去に飛んで今のつくしちゃんとの距離を
少しずつ詰めていきますよ~(*´艸`*)

もちろん、動けるようになったら
文字通り追いかけまくるんでしょうけどね(((*≧艸≦)ププッ

ところで…その噂のふっくら同盟…
旦那からポッコリーナと呼ばれている
私も加入出来ますかね…?
(出来なかったら恥をさらしただけ。笑)
  • |2019.09.09(Mon)
  • |lovetsukoshi
  • |URL
  • EDIT

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コメントありがとうございます♪

スリーシスターズ様

ププッ!
確かにつくしちゃんに対しては
警戒心もないし催眠術かかりやすそうですよね~(((*≧艸≦)ププッ

少しずつつくしちゃんが近い存在になってきて
夢の中だけじゃ足りなくなってくる頃かもしれませんし♪
早く動けるようにならなきゃダメですよね(*´艸`*)

ペンダントを持っているということは…。
なんですが、決定的な言葉はおあずけでした!

やっぱりどんなに過去をやり直してみても
最大の過ちでもあるNYの別れをどうにかしないと
恋人には戻れないのか!?
それとも元気になってからよりを戻そうと頑張るのか!?

メンバーもまだ知りません(笑)
一緒に楽しんで頂けますように~(*´▽`*)
  • |2019.09.09(Mon)
  • |lovetsukoshi
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